こんにちは、内海です。おかげさまでインプロアカデミーはここ最近大きく成長しています。この後も色々なことが控えており、雑誌の取材やテレビの取材も続いています。
そんな中で「インプロアカデミーは何を目指しているの?」と聞かれることも増えてきました。
今年のインプロアカデミーは「世界に誇れるインプロスクールを創ろう」をビジョンとして掲げています。世界には多くのインプロスクールがありますが、その中でも自信を持って「インプロアカデミーはいいインプロスクールです!」と言えるようなスクールを創ろう、というビジョンです。
では、世界に誇れるインプロスクールとはどのようなスクールなのでしょうか?僕はその要素として6つの柱を掲げています。このブログではインプロアカデミーの進んでいく方向をみなさんにシェアするために、この6つの柱を紹介します。
1.たくさんの人が通っている
最初の柱は「たくさんの人が通っている」ことです。おかげさまでインプロアカデミーは現在たくさんの生徒さんが通っています。その中で気づいたのは「人が集まること自体に力がある」ということでした。
キース・ジョンストンはインプロショーを行う人に対して「客席を埋めなさい」と言います。これはインプロの自由な思想からすると意外な言葉に思えるかもしれませんが、そこにはキースの経験が関わっています。
キースは昔とある映画を観たときに、あまり面白くないと感じたそうです。しかしそのままもう1回観ようとしたところ(昔の映画館は続けて観られたので)、今度はたくさんのお客さんが入ってきました。そして大勢のお客さんとともに同じ映画を観たところ、その映画が面白く感じられたそうです。
インプロワークショップも同じで、人が集まるからこそ生まれるエネルギーや発見があると感じています。人が集まることはスクールとしてのスタートであり、同時にゴールだとも思っています。インプロアカデミーは今後もそこにコミットしていきます。
2.インプロを通して人が成長している
インプロアカデミーはざっくり言うと「教育性」と「芸術性」の2つを大事にしています。そしてまず入口になるのは教育性です。つまり、「インプロを通して人が成長しているか?」ということです。
インプロはとても楽しいものです。だからワークショップの満足度はいつも高くなります。しかし「本当に参加者が成長しているか?」というと、成長している人もいれば、そうでもない人もいる、というのが現実です。
これは世界中のインプロワークショップを見てもそうで、インプロを長くやっているけれど、初心者とたいして変わらないように見える人もいます。もちろん、インプロを趣味としてやりたいのであればそれでも構わないと思います。しかしインプロアカデミーはスクールとして、参加者が本当に自由になり、同時に他者に貢献できるようになることを後押ししていきたいと思っています。
この点において一番大事なのは「とにかく基礎!」です。そこで、7月からは基礎クラスの仕組みを変えていく予定です。これについてはまたお知らせしますのでもう少々お待ちください。また、「最近ちょっと迷子かも」という人がいたら、ぜひ基礎に戻って共に土台を耕しましょう。
3.出演者もお客さんもハッピーになるショーができている
さて、続いては芸術性についてです。インプロアカデミーは3日間ワークショップの発表会として『マエストロ™』を行っています。そしてこのマエストロのクオリティーは世界的に見ても良いほうのレベルになっていますが、これをもっとレベルアップしていきたいと思っています。
「インプロスクールの発表会のクオリティーを上げることにどんな意味があるのか?」と思う人もいるかもしれませんが、僕は芸術性が高まるほど教育性も高まると考えています。
インプロの世界には「パートナーを輝かせよう(Make your partner look good)」をはじめ、たくさんの素敵な言葉があります。しかしそれをいくら聞いたところで、実際にできていなければ意味がありません。そして実際にできているかを知るためには、ショーに出るのが一番です。
先にも書いたとおり、インプロアカデミーのマエストロは世界的に見ても良いほうです。しかし「世界に誇れるインプロスクールを創る」というビジョンを前にすると、もっともっとレベルアップしていきたいと思っています。そのための仕組みも7月からできていきます。
4.インプロを理解したファシリテーターを輩出している
4つ目の柱は、ファシリテーターの育成についてです。インプロの世界はとても自由で、「インプロゲームは誰がやってもいい」という文化があります。だから今日学んだインプロゲームを明日ファシリテーションしてもいいわけですが、その結果「ただ盛り上げるためのゲーム」として行われているケースも見てきました。
僕は「それでその場が少しでも平和になっているならまぁいいか」という気持ちもありますが、やはり理想としてはインプロの思想とともにインプロゲームが広がっていってほしいと思っています。
そこで、インプロアカデミーはファシリテーター講座を行っています。しばらくお休みしていましたが、思いのほか需要もあり、今年からは本格的に行っていくことにしました。そこではインプロの思想を理解したファシリテーターを輩出していきたいと思っています。
5.インプロバイザーが尊敬されていて、ちゃんと報酬も出せる
5つ目の柱は、お金についてです。インプロアカデミーのワークショップに限らず、僕はインプロのワークショップは基本的にとてもいいものだと思っています。実際、参加者から「人生が変わった」と言われることもあります(これはインプロを長く教えている人であれば何度も言われてきた言葉だと思います)。
しかし、実際のところインプロで生計を立てられている人が日本でどれくらいいるかというと、ほとんどいないのが現実です。もちろんこれは個人の選択なので、「インプロではお金を稼がない」という選択もありだと思います。ただ、僕の理想はインプロを教えることが仕事になることだし、人にワークショップを依頼するときにもプロフェッショナルに依頼するような報酬を支払いたいと思っています。
インプロとお金の関係はシンプルながら非常に難しい問題ですが、インプロアカデミーは理想のスクールを創り出す中でこの問題も解決していきたいと思っています。
6.実験的なこともできている
最後の柱は、実験性についてです。これまでの柱はどれも大事なものですが、「これが正解」とすると固さが生まれます。特にうまくいっている時ほど同じことを繰り返したくなりますが、そうすると段々と死んでいってしまいます。
幸いにして、この柱はもとから達成できています。インプロアカデミーは外から見るとだいぶ「ちゃんと」したスクールに見えますが、実際にはかなり実験を繰り返しています。クラス構成も常に少しずつ変わっていますし、同じ「基礎クラス」という名前でも教え方を変え続けています。
どちらかというと、これからインプロアカデミーがもっとうまくいった時に、そこに留まらない勇気が必要になると思っています。インプロバイザーにとっての「ちゃんと」とは間違えないことではなく、変化し続けることだからです。
まとめ
以上、世界に誇れるインプロスクールを創るための6つの柱を紹介しました。これらの柱の中には既に達成できているものもあれば、これからのものもあります。しかしいずれも早ければ今年中、遅くとも今年度中に達成するつもりでいます。そうしたらまた新しく創り出したい姿が現れてくるでしょう。
僕にとってインプロアカデミーは「作品のひとつ」だと捉えています。そしてそれが素晴らしい作品であれば人はやってくるし、そうでなければ去っていく、というシンプルかつシビアな視点を持っています。
画家がより良い作品を創り続けるように、僕もインプロアカデミーをより良いスクールにし続けていきたいと思っています。それが果たしてどんな未来になるか、どうぞお楽しみに&インプロアカデミーは通ってくれているみなさんのものでもあるので、共に素敵な未来を創り出していきましょう。
引き続きどうぞよろしくお願いします!