事例インタビュー:接客コミュニケーション研修
(株式会社プチバトージャパン様)

インプロアカデミーは株式会社プチバトージャパン様にて、インプロを用いたコミュニケーション研修を行いました。まずは店長のみなさまに向けてマネジメントと接客に関わる研修を行い、その後ギフトスペシャリスト(ギフト接客の専門家)のみなさまに向けて接客研修を行いました。このインタビューでは、主にギフトスペシャリストへの接客コミュニケーション研修について内海(写真下)が伺いました。

― まずは自己紹介をお願いします!

井上さん(写真右上):井上と申します。お店で販売員と店長を経験した後にオフィスで、トレーニングを担当、今は人事のアシスタントマネージャーをしています。内部の研修は今まで自分でも実施してきたのですが、外部のトレーナーの方を探してというのは自分では初めてだったので、リテールのマネージャーのケンさんと一緒に相談しながら、今回うっちー(内海)さんの研修を見つけました。

柿沼さん(写真左上):柿沼と申します。普段は店舗での店長の業務を行っています。兼任で、社内のトレーニングを担当しています。トレーニングの実施や、関連する資料の作成をしています。

― 今回の研修に至るまでの課題感と、インプロを選んだ理由を教えていただけますか?

井上さん:店長へのインプロ研修をやっている中で「これは店長だけではなく、ギフトの接客にも活かせるのではないか」と思いました。プチバトーではギフトの接客フローがありまして、そのフローにある質問する項目をしっかり聞いていくことで提案ができる、という流れがあります。

しかしフローをその通りにしていると、会話の流れで接客をしていくというよりも、質問をして提案するものを決めていく、ということに力が注がれてしまうという状況がありました。そうすると、スタッフにとってもお客様にとっても楽しい接客ができていないのではないか、というのが課題として見えてきたところでした。そんな中、ギフトスペシャリストをプチバトーの中で任命することになって、その課題がインプロでちょっとクリアになるのではないかと感じたのが、大きなところですね。

柿沼さん:うっちーさんと初めてZoomで顔合わせさせていただいたのは、店長へのインプロトレーニングの打ち合わせでした。ちょうどギフトスペシャリストへの今後のトレーニングについて考えていました。その時点で課題に感じていたのは、接客ロールプレイを見ていると、基本を守った形式的な接客方法になっている事でした。

子供服の接客では、性別やサイズといつ着るかという基本的な情報を聞くだけで「ではお客様にはこちらがぴったりです」という提案ができてしまう部分があります。しかしそれではその買い物が楽しかったり、特別な時間だったと印象に残る接客にはならない、という課題が浮き彫りになったところでした。

接客のロジックが組まれていて、効率的ではあると思いますが、それだとやはりお客様の印象に残るような接客にはなりづらく、新人からベテランまであまり違いがありませんでした。ギフトスペシャリストには目の前にいるお客様に楽しんでもらい、ゲストの喜びを共感しながらギフト選びができる、そういう部分がとても重要だと思っていました。

井上さん:ちょうどギフトスペシャリストの研修の第1回をやった後にインプロに出会ったんですよね。第1回では「もっと掘り下げて接客の質問をしてほしい」「フローのいくつかの質問だけではなく、もっとお客様やギフトを贈る相手の方を知るための質問を増やしたい」という想いで、ロープレをやりました。

しかし、いろんな質問をしようとしても、深掘りした質問やそこから会話を広げるということにはなかなか繋がらなくて、ちょっと苦戦してたんですよね。結局みんな「ロープレはちょっと苦手です」とか「ロープレ嫌です」ってなってしまうので、私達も「楽しくない、どうしよう」っていう悩みにもぶつかってたんですよね。教える側としても、どうしたら分かってもらえるのかちょっと苦労していました。

柿沼さん:なのでギフトスペシャリストへのトレーニングは一時中断して、店長のインプロトレーニングを実際に受けてみて、その後に判断しようということになりました。そして実際に受けてみて「これはギフトスペシャリストたちに有効だ」という確信を得ることができたので、ぜひやってみましょうという話に至りました。

― 実際にギフトスペシャリスト向けの研修をやってみて、いかがでした?

柿沼さん:店長研修のときにも実施したいくつかの練習の中で、プチバトーの店舗以外の例えばプレゼントゲーム※1であったりとか、あとは電車の相席※2であったりとか、普段とは違う接し方の部分で結構つかめるところが多かったかなと思います。

お店で練習をすると商品も近くにありますし、商品に関する話が中心になるので、経験値から聞き出すよりも選択肢を提案した方が早いと思ってしまいがちです。そうするとどんどん形式的になっていってしまうのですが、電車の相席のインプロは今までの経験値ではできないので、コミュニケーションを理解するのにすごく有効だったと思います。

※1 お互いにマイムでプレゼントを贈り合うゲーム。プレゼントを贈られた側は「嬉しい!」と感じたら受け取り、「嬉しくない……」と感じたら優しく正直に断ることで、何が相手を喜ばせるのかを体験的に学んでいくもの。

※2 電車のボックス席という設定で、相席になった人に話しかけるゲーム。終わった後に話しかけられた人から心の動きをフィードバックしてもらうことで、自分のコミュニケーションの何が相手にとって心地良く、何が心地悪かったのかを体験的に学んでいくもの。

井上さん:今日のついさっきのお話なんですけど、インプロを受ける前にロープレをやってもらった動画を見て、インプロ後のロープレの動画と比べた時に、大きな違いとしては、お客様の言葉に対してすごく共感したり、反応が良くなって明るい雰囲気になっていることがわかりました。そういうところでは共通して成果が分かりやすく出ていました。

ただもうちょっと課題があるとしたら、お客様の言葉に対してどういうふうに自分がリードして、どうやって会話を広げるかがまだちょっと弱いかなっていうのがありました。

それでいうと、電車のボックス席のインプロはすごく大事なんじゃないかって思えてきて。あれはあんまりないシチュエーションですが、自分から怪しまれないように自然に話しかけて、なおかつ相手からも引き出さなければいけない、というのがハードルは高いのですが、あれをうまくできたら会話もスムーズにできるんじゃないか、というのがさっきの話で行き着いたところです。

あとはみなさんのアンケート結果を見ると「楽しかった」とか「ロープレは苦手で、インプロも最初は構えていたけれど楽しかった」というポジティブな意見が多かったので、楽しい方に行けたのは良かったですね。

柿沼さん:そうですね。ロールプレイングは正しいプロセスで目指すゴールにたどり着く感じがありますが、インプロの場合は正解不正解は無く、間違えても別にいいんだ、という感じがありました。それは店長研修のときもそうでしたし、ギフトスペシャリストたちに実施したときも、間違っても大丈夫という安心感が良かったという声がありました。

― 今後の展望があれば教えてください。

柿沼さん:ギフトスペシャリストに関して言えば、僕の感想に近い部分ではあるんですが、お客様とお話をするのは元々得意な人たちなので、そこの見直しをしなければいけないとは思ってはいません。ただ、お客様がおっしゃったことに対してそれを拾い上げて話題を広げていけるような、即興での会話がもっとできるようになっていくといいのかなと思ってます。

お客様から返ってきた答えに対して、研修前だと「そうなんですね」と言うだけでもう次の質問にいってしまったところが、研修後は「そうですか、じゃあこれこれこうなんですね」というふうにリアクションのワードとジェスチャーなどを交えながら楽しい雰囲気を作れるようになりました。ただ、その会話をもっと広げていくには、会話力みたいなものをより強めていきたい、という感想を持っています。

井上さん:今回は店長やギフトスペシャリストに向けて行いましたが、アンケートには「他の人にもやってやってほしい」という要望もありました。本当だったら全員にやってほしい内容でもあるので、そこはもっと広げていけたらいいなと思っています。

接客に関して言えば、店長やギフトスペシャリストだけができていればいいような内容ではなくて、本当に誰でもお客様を楽しませるとか、会話をしながら必要な内容も聞きつつ、より印象に残るような接客ができるのがベストだと思うので、そのあたりですね。

みんな真面目に受け取ってくれるので「こういうフローの項目を聞いてください」となるとそれをやらないといけない、という感じになってしまうんですね。もちろん提案するためのベースとしてそれは必要なのですが、その上で2階建てにインプロがあるイメージで、その2階部分をもっと増やしていけるといいのかなと思っています。

入口としてはフローでいいのですが、そこからさらに膨らませて2階建て3階建て、というふうに成長していけるような仕組みができるといいなと思っています。

― インタビューへのご協力、ありがとうございました!

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