4月スタートの海外クラス講師「ジェフ・グラッドストーン」ってどんな人?

4月から開講する【ジェフ・グラッドストーンによる「パフォーマンス実践クラス」】。このクラスの講師を務めるジェフ・グラッドストーンについて、「どんな人なの?」「どんな素敵なところがあるの?」という疑問を解決すべく、昨年からカナダに移住し、ジェフと一緒に活動するようになり、今回のクラスの通訳も務める下村理愛さん(以下:りな)にインタビューしました!ぜひクラス参加の参考にしてみてくださいね。

りなが思うジェフの魅力を教えて!

りな:1つは一人一人の意見を大事にしてくれるところ。カナダでのショーの前にバウンダリーチェックイン(自分がされたくないことを確認をする時間のこと。例えばキスは嫌、背中が痛いから持ち上げられたくないなど)があって、一人のプレイヤーが「銃をシーンで使いたくない」と話してくれました。その時に、ステージ裏の小道具の銃をジェフがしまっていて、その人にとっての嫌なことが起こらないようにしていたのが素敵だった。

カナダにはいろんなインプロがあるから、キースのインプロだけではなくて、コメディをメインに活動してきたプレイヤーの人も一緒にショーに出たりするのね。その中で私は「シリアスなシーンとかハートウォーミングなシーンみたいな、笑いに逃げることではなく、リアリティのあるシーンをやりたい」と伝えていたの。そうしたらそこにジェフが共感してくれて、そして一緒にやってくれたことが嬉しかった。

人柄は、肩書を見るとすごいしっかりしたところ(※)もあるんだけど、プレイヤーとしてとっても遊び心がある人。ショーの中でバラエティーを意識して、長いシーンを作った後に3秒のめちゃくちゃだめなシーンも作れたりする。子どものような一面をステージの中でバーンと出したりもするよ!

※ジェフはキース・ジョンストンが作ったフォーマットのライセンス管理を行う国際シアタースポーツ協会(ITI)のカナダ代表および理事を務めている。またバンクーバーのインプロ劇場であるタイトロープインプロシアターの創設メンバーとして、パフォーマーのトレーニングやクラスのディレクションを担当している。

ジェフと一緒にインプロをしていて、どんなことが印象に残ってる?

りな:ジェフが真実を扱うところ。印象的なシーンは、ゴリラシアター™(※)の最後の最後にジェフの番が来た時に、「りながバンクーバーを去る最後の日のシーンをやりたい」と提案して、私が大好きな海の見える公園(スタンレーパーク)を場所に設定したの。その時もう1人のプレイヤーがいて、私とそのプレイヤーがちょっとふざけちゃった時にジェフがちゃんと戻してくれて、「I need truthful.」と言ってくれた。それで初めて、インプロのショーの中で涙を流せた。ジェフのもとでは安心してtruthfulでいられるし、心を動かすディレクションをしてくれるなって思った。

※ゴリラシアター™
キース・ジョンストンが作ったフォーマットの1つ。複数のディレクターが交代でシーンを作っていき、観客からシーンに対するご褒美(バナナ)かお仕置き(フォーフィット)をもらう。最終的にバナナの獲得数が一番多いディレクターが優勝する。

タイトロープってどんな劇場なの?

りな:メンバー構成としては、コアメンバーはキース・ジョンストンが作ったルースムースシアターでずっとキースと一緒に活動してきた人たち。その人たちが立ち上がったのが3年くらい前で、劇場を持ったのは去年の10月頃。私は9月に行ったから劇場オープンのお手伝いもさせてもらったよ!基本はキース・ジョンストンのフォーマットの上演を毎週金曜と土曜にしている。キースにリスペクトを持ちつつも、更に色んなショーのフォーマットを開発していて、新しいインプロの時代を作っていっている感じがする!何より、めっちゃおしゃれ。いけてる。HPもめちゃくちゃいけてるよ。

タイトロープにはビジョンとミッションがあって、ビジョンとしてはインプロというアート形式を広めていくことを掲げていて、ミッションとしては「思いやりとつながりを刺激しあいながら、安全でインクルーシブ(誰も排除されない)環境にコミットすること」を掲げているのね。それがチェックインにめちゃくちゃ現われていて、チェックインの時の自分のプロナウンス(自分がどういう性別に見られたいかの代名詞)を共有してる。「私の元気度はこれです、Rina/She/Her」みたいに言う。その日、その場で自分がどう見られたいかを当たり前に聞くんだよね。

あとワークショップの前の誓約書があって、それがすごく丁寧なんだよね。参加するにあたって、この場所を安全にすると誓いますか?とか、ハラスメントについても詳しく書かれてる。ハラスメントにあたる行為はしないでください、された場合はここに連絡してくださいみたいに、案内文から安全安心な場にすることにコミットしていることがすごく伝わってくるんだ。

ジェフクラスはどんな人におすすめ?

りな:多様性を受け入れあうようなインプロを本当にやってみたい人かな。タイトロープという新しい劇場を、多様性に配慮して本気で作っている人がジェフなんだよね。ブラック・ライブズ・マター(アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動のこと)という背景がきっかけでタイトロープができてるから、カナダ・バンクーバーという多民族国家でジェフとタイトロープはインクルーシブな場づくりに本気で取り組んでいる。だからジェフがどんな空気感でインクルーシブな場を作っているかは一緒にいてすごく勉強になる。

私自身がインクルーシブな場を体験している。というのも、「あ、自分が自分を『英語ができない日本人というマイノリティ』として扱っちゃっていたな‥‥」とはっとさせられることが多々ある。「配慮してあげる」「配慮される」という強い人と弱い人という構造を作るのではなくて、「りな、それめっちゃ面白いね!」「りなに任せたい」って気持ちを伝えてくれる。「日本でみんなと違う経験をしてきたインプロバイザーとしてできることをしてチームに貢献しよう!」って気持ちになれる。皆が盛り上がって英語が速くなった時に何を言ってるか分かんない時ももちろんあるんだけど、寂しい気持ちになったり自分を責めることがほとんどないのは信頼を感じるからだし、みんなとショーを重ねていく中で自分に自信がついてきたからだと思う。異文化な私がサステナブルに存在し続けられる空間をジェフも作ってくれるし、私もその空間を作る一部なんだって思えているのが「インクルーシブ」だなって思う!

最後に。なつみがインタビューを通して感じたこと。

このインタビューを通して、りなの言葉から「ジェフが何を大切に思っているか」をひしひし感じることができました。このクラスを開講するにあたってジェフがくれたコメントも、「クラスの中で混乱したり、居心地の悪さを感じたり、質問があったりしたら、いつでも止めて聞いてください。私はグループの質問や興味からインスピレーションを受けることが大好きなので、いつでもあなたのアイデアを歓迎します。」や「インプロのための最高のコンテンツは、インプロバイザーの生活や想像力から生まれると信じています。私は、あなたの感情、興味、小さなこだわり、好きな本、夢、世界を変えたいと思うことについて興味があります。ですから、ぜひこれらのことを共有してください!」というジェフの想いや温かさに溢れていました。それがどこから来ているのか、このインタビューで明らかになったような気がしています。

ジェフのクラスは今回がアカデミーで初開講です!「英語を話せる・話せない」はジェフの前ではまったく関係がありません。インプロバイザーとして確かな実力と、そして素敵な人柄で私たちと向き合ってくれるジェフと、一緒にインプロがしてみたいと思った方は、ぜひこのクラスに参加してみてください!

自分のインプロを磨く、新しいアイデアがたくさん得られる時間になると思います。

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名古屋大学を卒業後、東京学芸大学大学院にて表現教育とインプロを学ぶ。名古屋市に在住し、NHK文化センター名古屋教室など東海地方を中心に講師・パフォーマーとして活動している。国際シアタースポーツ™協会(ITI)アジア地域担当。1児の母。
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