『ほんとうの自分で人といられるレッスン』出版記念イベントを開催しました!

こんにちは、内海です。7月20日(月・祝)に青山ブックセンター本店にて『ほんとうの自分で人といられるレッスン』出版記念イベントを開催しました!当日は30名を超える方に来て頂きました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました!

始まる前は「トークだけでどれくらい面白くなるだろう」と思っていましたが、熱気あふれるみなさんのおかげで、予想を遥かに超えたいい時間となりました。この記事では、当日のイベントの様子を抜粋してお届けします。

本を出した背景・思い

イベントの第一部では、本を出した背景や思いについて、はる(佐藤春幸さん)が聞き手となり、うっちー(内海隆雄)が語りました。

はる「まずはシンプルに、本を出すきっかけは何だったのか、っていうところから教えてください」

うっちー 「直接のきっかけは 2年くらい前になるんですが、さかのぼれば僕は10年くらい前からずっと本を書きたいって言ってたんですよ。 でも本は縁がないと書けないものなので、『書く書く詐欺』みたいな状態を8年くらいしていて。そんな中、一昨年のインプロ体験会に、この本の編集者の野村美空さんがやってきました。でもその時は編集者さんとは知らなくて。で、 その1週間ぐらい後かな。『実は私、編集者をしておりまして』っていう出版の熱いメッセージが来て。それで『書きます』と言ったのが始まりです」

はる「最初そのメールが来た時の気持ちはどんな感じだったの?」

うっちー 「まずはシンプルに『やったー!』っていう気持ちだったかな。あとは同時に『やっと来た!』っていう気持ちもあったかな。僕はインプロ=即興演劇という変わった仕事をしているので、テレビ取材も時々来るし、出版依頼もいつか来るんじゃないかなとは思ってはいました。けど『急に来た』という感じもあったかな。もちろん書きたい気持ちは全然あったので、即答で『書きます』みたいなメールを返信した記憶があります」

はる「そこからはざっくりどんな感じで進んだの?」

うっちー 「まずは企画会議を通すのがすごく大変でした。それに1年くらいかかったと思います。(※イベント後に調べたところ、実際には半年程度でした。すごく長く感じていたんですね。)編集者さんは忙しいので、そんなにポンポンできないっていうのもあったんですけど、企画会議に案を出しては通らない、ということが何度もありました。やっぱり商業出版なので、読者に届くことが大事で。そして僕はインプロっていう、さっきはいい意味で変わったものをやってるって言ったんですが、ここになると悪い意味になるんですね。『知らないものを本に書いたところで誰が興味持つの?』みたいな。なので切り口を工夫しなきゃいけないっていうので、とても時間がかかりました」

はる「では企画が通ってから、執筆に進んだということ?」

うっちー 「そうです」

はる「その執筆期間はどれぐらいだったの?」

うっちー「8ヶ月ぐらいかな。(※ここもイベント後に調べたら1年以上ありましたが、書いてない時期や戻り待ちもあったので、実質で8ヶ月程度でした。)ただ執筆も1回ボツになってるんですよ。まずは書き方の部分で、最初はもっとワークショップの様子をメインで書いていく構成でした。登場人物が6人ぐらいいて、その人たちがワークショップを受けながら学んでいくっていう、ちょっとストーリーテイスト。僕が本を書くのに一番参考にしたのは『嫌われる勇気』なんですけど、あの本は青年と哲人の対話形式じゃないですか」

はる「たしかに」

うっちー「あんな感じで、ちょっと人数は多くなっちゃうけど、6人ぐらいのそれぞれ癖のある参加者がいて。一人は声を出せないタイプの人、逆に一人はコントロールしすぎちゃう人とかキャラ分けをして、その人たちが学んでいく様子っていうので 2章ぐらい書いたんですが、まるっとボツになりました。っていうのが最初の2、3ヶ月であって、その後の半年ぐらいは今の原稿をひたすら書くっていう感じです」

はる「では、その後の執筆活動はどんな感じだったのかを聞いてみたくて。 素人イメージだと、部屋に引きこもってずっと書いてるとか、編集者さんに『先生』みたいな圧が来て、という感じなんだけど、実際はどうだったんですか?」

うっちー「まずはみなさんのステレオタイプを取っておきたいんですが、『先生まだですか』ってのは全くなかったです。これは書き方次第らしいんですが、僕は出版日を決めずに書くタイプだったので、催促は一回もなくて」

はる「へぇ」

うっちー「ただ、これもこれで難しいんですよ。自分で締め切りを作らないといけないから。だから編集者さんに『来月末までにここまで書きます』みたいな宣言を勝手にしたりして」

はる「なるほど」

うっちー「そんな中で一番大きかったのは『旅館に缶詰めになって書く』ということでした。これはもう具体的な名前を出すんですけど、湯河原に『執筆パック』っていうのをやっている旅館があるんですよ。三泊四日で三食付き。三食出るのでひたすらご飯を食べて書いて、ご飯を食べて書いて、それを三泊四日やって。だから僕は散歩以外で湯河原を何も楽しんでないんですけど。でもその時が一番書けたし、そこで第一部を書けたんですよ。それを編集者さんに送ったら『これは面白いと思います』ってなって、ようやく『あ、書ける』ってなりました。別に回し者じゃないですけど、 執筆パックはおすすめです(笑)」

はる「執筆パックの持ってる力みたいなのはすごくいい影響があったと思うんだけど、具体的にはどんな力を与えてくれたの?」

うっちー 「まずは料理がめっちゃ美味しいんですよ。『これは隣町で取れた魚です』みたいに説明してくれるんだけど、朝昼晩めっちゃ美味しいのね。で、『こんなに美味しいものを食べてるのに、何も仕事をしないなんてありえない』みたいな気持ちになって。『このご飯に見合う分の仕事をしよう』みたいな気持ちになりました」

はる「よくギブアンドテイクの話で、まずは自分から世の中にギブすることで、それは返ってくるみたいなのがあるけど、そんな感じだったのかな」

うっちー「そうそう。美味しいご飯という分かりやすいギブがあったので、僕も返していかないとな、ってなりました」

はる「なるほど。では、ここまではわりといい話を聞かせてもらったけど、逆に『ここはしんどかった』みたいなことはあった?」

うっちー「けっこうあった。執筆パックに行って一旦書けるようになったんだけど、難しいのは普段の仕事が入るとやっぱり脳が切り替わっちゃうところがあって。執筆パックに行った後は、家でも書けるんですよ。でもその後にワークショップとかが入ると、なんかモードが切り替わっちゃって。そうするとまた執筆に戻るのはけっこうしんどくて、その時期はかなりいろんな場所で書きました。近くのマックとか、駅のパン屋とか、コージーコーナーとか。そのときはけっこうきつかった。1日の中でマック行って、書けなくなったらパン屋に行って、みたいなこともやってました」

はる「なるほど」

うっちー「だからもし二冊目を書けるとしたら、執筆パック行って、その後も1ヶ月ぐらい空けておいて、執筆パックの勢いで書くみたいなのが一番楽なんじゃないかなと思います。これは普段の仕事とかもそうですよね。一つのことだけに集中できたら楽なのに、あれもこれも入ってくると脳がスパークしてくるという。だから執筆パックにはもう一回行ったんだけど、それは再起動するために行ったっていう感じでした」

はる「これはちょっと細かい話なんだけど、インプロってけっこう身体的な表現も込みだし、やってみて実感するものだと思うんですよね。それを言語化していくのって、けっこう難しい作業だったんじゃないかな、と思ったんだけど、どうでしたか?」

うっちー 「その難しさはあんまりなかったかも。これはもう本当にアカデミーに通ってくださったみなさんのおかげみたいな感じなんですけど。 まずゲームの様子は僕が書いてるんだけど、過去に『なんか見たことあるなー』みたいなのを書いてるだけという感じでした。あとアカデミーのワークショップはふりかえりの時間も充実してるんですね。だから『こんなこと言われてこんな返しをしたな』とか、『こんなことを聞かれたらこんな返しをするな』みたいなことを書いただけなので、そこはそんなに苦しくなかった」

はる「ワークショップ中に見た聞いたみなさんの様子がうっちーの中にあったってことなんだね」

うっちー「そうそう」

質問タイム

続いては、司会のともちん(高橋智子さん)が参加者に質問を募集しました。

参加者「うっちーが書いた本の中で、どれも本当に伝えたい内容だとは思うんですけど、その中でも特に『ここを読んでほしい』というのはどこなのかな、というのが気になりました」

うっちー「いい質問ですね。まずこの本は、書きながら発見したことがすごい多いんですね。この本は320ページあって、今どきの本にしてはちょっと多い分量なんです。そしていろんなテーマを書いたなという感覚もあって。でも『本になった時に結局一本つなぐ線は何なんだろう?』みたいなことは書きながら自分でも思っていました。そしてこの本に関して言えば、やっぱり最終的にはあとがきに書いた『恐れからでなく、喜びから動きましょう』っていうのが一番伝えたかったことだなと思います」

参加者「ありがとうございます」

ともちん「他に質問ある方はいますか?」

参加者「本で商談の例が出てきました。私も仕事で商談をするんですけど、それを参考にしたら、自分の気持ちがすごく楽になったのは大きな発見でした。ありがとうございました」

うっちー「それはよかったです!」

参加者「先ほどの質問とちょっと重複するかもしれないんですけど、執筆する前とした後で、何かしら変化したこととか再確認したことはあるのかなと思って質問しました」

うっちー「いい質問ですね。本を書くって、自分の中にバラバラにあるものをまとめるみたいな作業なので、僕はもともと言語化するのは得意だったんですけど、それがもっと得意になった感覚があります。ただ、これには良い部分も悪い部分もあって、言語化がシャープすぎると、それが正解っぽく見えちゃうという問題もあると思っています。でも即興は正解なんてないんですよね、究極。だからこそ、本を書いたら同じ話をずっとしない方がいいのかもしれないと思っています。新しい話をすると、ちょっと下手になるじゃないですか。そういうことを探した方がいいのかもしれないって思っているところです」

参加者「まさかの視点でびっくりしました。貴重なお話ありがとうございます」

ともちん「他に質問ある方はいますか?」

参加者「本を読ませていただいて、『自分はこうありたい』という形がすごく言語化されていて、自分もそういうふうに過ごしたいなと思いました。一方で、社会では全くそうではない人たちに囲まれるときもあって、自分だけが素敵な人でいるとなんかちょっと損だと思ったりもしました。自分は誰かと話すときに、相手を味方だと思っていい時間を作ろうとしていても、向こうがそうとは限らないときに、どう自分をそのままでいるようにできるんだろう。内海さんだったらどうされますか?」

うっちー「なるほど。これは本に書き終わった後に思いついたことなので、本の中には入ってないんですけど、『誠実でいることのメリットはいつやってくるのか』っていう話だなと思っています。多くの人は誠実でいることのメリットは『その後』にやってくると捉えている気がします。 誠実にやってるから、その後相手からよく思われたり、仕事だったら評価されたり、みたいな。ただ僕の感覚、特にインプロバイザーとしての感覚は、誠実であることのメリットは『その瞬間』にあると思っています。さっきの商談が楽になったのもそうだなと思うんだけど、そっちの方がなんか自分がすっきりするからそうしているのであって、それで後々メリットがあるからじゃないな、と思います。今この瞬間、自分がありたいようにあれてるからもうメリットを享受してるんだ。そんな心持ちでいるなと思います」

参加者「ありがとうございます。今のお話を聞いて、自分で納得するっていうことが自分のためになるんだなと思いました。 私はまだ誰かから、人との関係性で自分のできたできないとかを判断しているのかなと、今のお話でちょっと分かった気がします」

うっちー「もちろんそういう人と一緒にやるのは難しいし、うまくいかないことも全然あるんだけど、そんな中でも誠実な自分であれたなっていうことは残ると思っています。 でもそういう時はしんどいので、『よく頑張ったね』ってしゃぶしゃぶを食べたらいいと思います(笑)」

参加者「ありがとうございます」

うっちー「こちらこそ、ありがとうございます」

ともちん「最後、いきましょうか」

参加者「ありがとうございます。あの、私はタイトルに惹かれて来た系の人なので、本は買ったんですけどまだ読んでなくて、今日お話を聞いてからすぐ読むかどうか決めようと」

うっちー 「今のところどうだろう(笑)」

参加者「今お聞きしたいのは、即興演劇ってやっぱり演劇だから、自分以外の何かになってみせるっていう要素はあるんですよね」

うっちー「はい、あります」

参加者「その虚構の中で生きていることが、現実の生活にどう転移していくのかっていうことをお聞きしたいなと思っていて。演劇をやる人が『ほんとうの自分』っていうタイトルをつけるのがすごく面白いなと思っていたんです」

うっちー「なるほどー。その切り口は面白いですね」

参加者「もう『読んでください』っていうお答えでもいいんですけど」

うっちー「これは本には書いてないお話なのでお答えすると、まずは自分の中に全くないものって演じられないんですよね。人はみんな多面性を持っているので、優しい自分もいれば、怒りっぽい自分もいるし、笑える自分もいれば、真面目になっちゃう自分もいる、みたいな。そんないろんな自分がいると思うんですけど、演じることって全く別のものになるっていうよりも、自分の中にあるこれらの要素を使う、そんな感覚があるアートだと思います。でもそれは逆に言うと、自分の範囲を広げておかないと、演じられるキャラクターがすごい狭まっちゃうんですよね。で、本当の自分になるということは、ひとつの点を見つけるというよりも、『これも自分なんだ』『これも自分なんだ』と広げていくようなことだと思います。その結果、演じられる幅も広がるし、社会に生きることもある種演じるということなので、自分の中にあるもので『こういう時はこっちを使おう』『こういう時はあっちを使おう』ってできるのが、楽になる道なんじゃないかなって、そんな風に考えています。いかがでしょう?」

参加者「素晴らしい。ありがとうございます」

質疑応答は実際にはもっと盛り上がったのですが、さすがに長くなるので、これでもだいぶ省略しています。

第一部では、本を出した背景や思いについて語りました。続く第二部では「インプロとコーチングの交差点」をテーマに語りました。こちらはまた別の記事でお送りします!

有志一同より、お花も頂きました。ありがとうございます!
東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は、海外を含む100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において1000回を超えるワークショップを開催している。NHK『あさイチ』出演。著書『ほんとうの自分で人といられるレッスン』
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