「その先」へ行くために。
インプロを学び続けられる場所の価値

こんにちは、内海です。インプロアカデミーを立ち上げてから、およそ1ヶ月半が経ちました。おかげさまで、立ち上げ当初からたくさんの方にクラスに通っていただいています。

また、9月からは海外講師によるクラスも含めたたくさんのクラスが予定されており、さらに規模を拡大していきます。

さて、インプロアカデミーは立ち上げにあたって、「誰もがインプロを学び続けられる場所をつくる」というミッションを掲げました。ミッションを何にするかに関してはスタッフ全員で話し合いましたが、最終的には「直感」で決めたものでした。

しかし1ヶ月半が経って、このミッションは思いのほか的確なものだったのだと感じています。

僕はインプロアカデミーを立ち上げるまで、「その時々の興味」と「参加者が集まりそう」という基準でワークショップを行ってきました。それはそれで楽しく、学びのある時間ではありましたが、学びを「積み重ねる」という点においては足りない部分がありました。

その結果、ある部分については長けているけれど、ある部分についてはスッポリと抜け落ちているという状況だったり、異なるインプロがごちゃごちゃになっているという状況がありました。

それもそれでインプロバイザーの個性であったり、日本のインプロの個性とも言えると思います。しかし、やっぱりそれでは海外のインプロのような高みにはいけないと感じています。なぜなら、それでは「個人の経験則」の範囲に収まってしまうからです。

インプロ(即興演劇)は誰でもできるものです。特に「即興」の部分に関しては、人が本来持っている能力や魅力を引き出すものなので、本当に誰でもできます。そしてその力は素晴らしいものです。

しかし、インプロを「演劇」として高めていくためには、人間がこれまで培ってきた演劇について学ぶことが必要であると感じています。

インプロの父と言われるキース・ジョンストンも、もともとはロイヤルコートシアターに所属する劇作家でした。だからキース・ジョンストンのインプロには、そこで培った演劇に関する理論や技術が多分に含まれています。

僕は現在『Impro for Storytellers』を読んで実践するワークショップをしていますが、そこに書かれていることの多くは理論や技術に関することです(それが思想に繋がっているのがキース・ジョンストンのインプロの面白いところでもありますが)。

それは本能だけでインプロをしたい人にとってはある種「ジャマくさいもの」かもしれません。「インプロの理論を学ぶことは必要か?」でも書いたように、実際問題として、インプロの理論を学ぶとほとんどの場合は一度不自由になる経験をします。

だからこれまでの僕は(理論的と言われる僕ですら)、細かい理論に関してはあまり深く教えないようにしてきました。

しかし、インプロアカデミーのワークショップでは一度不自由になることを恐れず、そこまで教えていきたいと思っています。そして、一度不自由になった先まで参加者たちを案内していきたいと思っています。その結果、海外のように知的で魅力的で興味深いインプロバイザーが増えることを願っています。

これが今の僕が考える「インプロを学び続けられる場所」の価値です。

最初にも書いたとおり、9月からは新しいクラスがたくさん始まります。僕のクラスに限らず、興味のある人はぜひいずれかのクラスに参加してみてください。(クラスは近日公開予定です。興味のある方はLINE公式に登録しておいてください。)

今後ともインプロアカデミーをどうぞよろしくお願いします!

東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は、海外を含む100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において1000回を超えるワークショップを開催している。NHK『あさイチ』出演。共著書『インプロ教育の探究』
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