〜頭ではなく心で演じる〜 演技のためのインプロワークショップでやること

来週から始まる「演技のためのインプロワークショップ」では、マイズナーテクニックとインプロのハイブリッドとも言える「インサイドアウトのインプロ」を扱います。

マイズナーテクニックには、リピテーションという代表的なエクササイズがあります。
パートナーを観察し、相手の状態を言語化し(例:あなた頷いた、あなた怖がってる…など)、お互いにその言葉を繰り返すことで、思考や自意識から離れ、相手と繋がった真実味のある演技を目指すエクササイズです。
インサイドアウトのインプロでは、このリピテーションの感覚を使っていきます。

インサイドアウトのインプロを作ったのは、ミック・ネピアとジョー・ビルという、シカゴのアノイアンスシアターというインプロ劇場のディレクターを務めている人です。
彼らは既存のインプロが持つルールやセオリー(ポジティブにやる、イエスアンドする…など)に疑問を抱き、インプロをもっと自由で衝動的に作っていけるものに進化させたのです。

日本でよくやられるインプロは、いわゆるアウトサイドインのインプロで、アイデアや設定を先に出して、物語を作っていくというものです。
このスタイルだと、どうしてもシーンを演じながらも相手以外のことを考えなければいけないので、頭でっかちになりやすいのです(優れたパフォーマンスをするためにはディレクター脳も必要なのですが)
一方でインサイドアウトのインプロは、先述のマイズナーテクニックに、心理学や脳科学も応用させることで、相手に集中しながら、より衝動的に物語を作っていくことが出来るのです。

かくいう僕も、インプロとマイズナーテクニックを集中的にやっていて手詰まり感を感じていた頃にインサイドアウトのインプロに出会い、目の前の相手と反応し合うことによって、今まで作ったことのない物語が生まれていく楽しさを味わい、結果的にインプロとマイズナーテクニックがより楽しめるようになる体験をしました。

「Play is play(演劇は遊びである)」
どんなエクササイズであっても、パフォーマンスであっても、演劇である以上は、遊びであること、楽しくやることが大切です。
そういう意味では、このインサイドアウトのインプロは、とても優れた演劇であると言えます。
インプロは苦手だという人、マイズナーに手詰まり感を感じている人、どちらもやってことないけど演劇を楽しみたい人…
是非ワークショップを受講してみてください!

International Theatersports Institute(国際シアタースポーツ協会)会員。インプロ、クラウン、マスクを世界で学び、俳優の恐れを取り除き、自由で創造的にするための指導や研修を年100以上行っている。また、自身も俳優として海外のブロードウェイ作品やミュージカルにも多数出演している。ステージキャリアは12年で400ステージ以上。
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