インプロがうまくなるとはどういうことか? ~キースアドバンスクラスに向けて~

こんにちは、内海です。来年の2月から、内海と紗良は「キース・ジョンストンのインプロアドバンス」クラス(通称:キースアドバンス)を開講します。

「アドバンス」とは「進む」という意味です。では、インプロが進む(うまくなる)とはどういうことでしょうか?ここではそのことについて、自分の経験をふりかえりながら書いてみようと思います。

ビギナーは自分のことで一杯一杯である

僕がインプロに出会ったのは、2010年の秋のことです。東京学芸大学に通っていた僕は、「ワークショップを学べる授業がある」と聞いて飛び込んだところ、その中身がインプロでした。そして本格的にインプロを始めたのは、インプロゼミを作った2011年の春からでした。

その頃の自分のインプロを思い出してみると、一言で言えば「自分のことで一杯一杯」でした。「相手にいい時間を与えよう」という言葉は知っていても(そしてそれに共感していても)、実際には「いかに自分がうまくやるか」「その場面を切り抜けるか」という意識・無意識でインプロをしていたように思います。

もちろん、それでも面白くなる場面はたくさんありました。特に初心者は一杯一杯だからこそ出てくるアイデアがあったりして、それがお客さんを沸かせることもありました。しかし、そのようなインプロはだんだんとうまくいかなくなっていきました。

「いかに自分がうまくやるか」というインプロは、いずれ「相手が思い通りにいかない」という壁にぶつかります。そして、相手が思い通りにいかないことは、りんごが落ちることと同じくらい世界の事実なので、その壁を乗り越えることはできません。

相手にいい時間を与えたくなってからが、本当のインプロの始まり

僕がその壁を乗り越えたと感じたのは、SAL-MANE(サルメーヌ)として2012年の春に岩手県の学生演劇祭に招待されたときでした。そのときは地元の人たち(結果としてほとんど子供たち)にワークショップをして、その子供たちが舞台に上がる、というショーを行いました。

ショー当日は、SAL-MANE代表の「もっちー」がMC・ディレクションをして、僕はプレイヤーとして彼ら彼女らを支えるポジションになりました。

そのときのショーの感覚は今でも覚えていますが、文字通り「あっという間」でした。「いかに自分がうまくやるか」という考えが入る余地がないくらい、目の前の子供たちを輝かせることに集中していました。その感覚は僕にとって新鮮で、そして気持ちのいいものでした。(そして出演者やお客さんの感想もとってもよかった。)

おそらく、この経験が無ければ僕はいままでインプロを続けていなかったと思います。多くの人はインプロを「自分が自由になるため」に始めますが(それは全く悪いことではありませんが)、相手にいい時間を与えることの喜びに気づいてからが、本当のインプロの始まりなのだと思います。

パートナーを輝かせるプレイヤーが、お客さんからは輝いて見える

インプロでは「パートナーを輝かせるプレイヤーが、お客さんからは輝いて見える」という現象があります。僕はこれまで少なくとも100を超えるインプロショーに出てきましたが、「自分がいいインプロをした!(パートナーは付いてこれなかったみたいだけど)」という時はお客さんからの評価はほとんどなく、逆に「パートナーがすごく喜んでいたなぁ(自分は普通だったけど)」という時はお客さんから驚くほど評価されたりしました。

その感覚はいまでも不思議だと感じるものですが、しかし「実際に、そういうふうにできている」ということは信じられるようになりました。

改めて「インプロがうまくなるとはどういうことか」を考えると、それは「意識を広げていくこと」だと思います。初心者のうちは自分のことで一杯一杯ですが、そこから少しずつ相手のことが見えてきて、気づかったり、戯れたりすることができるようになっていきます。(さらに進んでいくと、舞台の上に立ちながらお客さんの気持ちも分かるようになりますが、それはもっと先の話なので置いといて。)

2月からのキースアドバンスクラスのテーマは「インスピレーションをプレゼントする」です。自分が楽しむことはもちろん大事に、そこに追加して、パートナーを喜ばせることにチャレンジしましょう。そうしたら、きっとインプロをする喜びの総量が増えるはずです。

キースアドバンスクラスはすでに半分以上の枠が埋まっています。ご興味ある方はどうぞお早めにお申込みください。みなさまに出会えることを楽しみにしています。

「キース・ジョンストンのインプロアドバンス」クラス

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において1000回を超えるワークショップを開催している。
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