3日間ワークショップ参加者インタビュー:かおり・みねこ「1日1日の中で安心感が広がっていった」

インプロアカデミーに参加してくださった方に感想をお伺いするインタビュー企画。今回は3日間集中ワークショップ(発表会付き)に参加してくれたかおりとみねこにお話を聞きました。3日間ワークショップに参加しようか迷っている方はどうぞ参考にしてください。(写真は1回目の発表会より)

初参加のかおりと、3回連続参加のみねこ

うつみ:インタビューを引き受けてくれてありがとうございます!早速ですが、なんでこのワークショップに参加しようと思ったのかを聞いてもいいですか?

かおり:もともとインプロにも興味があったのと、私は本当に緊張に弱いので、そういうところをインプロを通して変えていきたいなっていうのがありました。あとは1回目(2022年10月の回)にみねこさんが出演していた本番がみなさんすごく素敵だったので、あの場に一度立ってみたいという思いもありました。あとはみねこさんからも声をかけてもらえて。もしかしたら声をかけてもらえなかったら怖くて出られなかったかもしれません。

1回目の発表会の様子

うつみ:興味はあったけど、背中を押してくれる人も欲しかった、みたいな?

かおり:そうですね。背中を押して欲しかったなって。

うつみ:なるほど。ちなみに「緊張に弱い」っていうのを、もうちょっと聞きたいなと思って。かおりは台本のある演劇もしてるんだよね?

かおり:はい、しはじめた感じです。2年ぐらい。演劇は中学校のときから好きで、舞台に少しずつ携わらせてもらっていて、稽古のときも緊張するし、あとは会社の会議とかでもあんまり喋れない。実際、「緊張に弱いな」って感じるのは演劇よりも会社のときの方が多いですね。

うつみ:なるほど。では演劇としてだけではなく、何か日常にも活かせたら、みたいな?

かおり:そうですね、日常にも。

うつみ:なるほど、ありがとうございます。では、みねこは今回3回目になりますが、その参加の理由はなんでしょう?

みねこ:1回目2回目が楽しかったし、すごく思い入れのあるワークショップになったので、できる限りこの3日間のワークショップで自分の身体に叩き込みたいなって思ったのが、この連続参加の理由ですね。

うつみ:3回目参加するにあたって「特にここにチャレンジしたい」みたいなのってあったの?

みねこ:1回目2回目は結構ついていくのに必死だったというか。体力的にも、あとは「振り返って考えてみるとこうだったな」みたいなことが結構多くて、頭を使ったなと思いました。

うつみ:なるほど。

みねこ:ワークをやってる瞬間に頭を使ってるとかそういうことではないんですけど、どちらかというと「あれが出来なかったな」「これが出来なかったな」みたいなことを考えてしまうことが多かったので、3回目はもっと楽しんでいこうと思って。楽しくやれる、かつ身体で感じることをテーマにして参加しようと思ってました。

うつみ:なるほど、ありがとうございます。

ワークショップで印象に残っていることは?

うつみ:では、実際にワークショップに参加して印象に残ってることはどんなことですか?

かおり:稽古で面白かったことがたくさんあって。すごく笑った意味での印象に残っているのは、2日目のやまともさんとうさぎさんの二人羽織がすごい面白かったなって、いまだに思い出し笑いしちゃうやつです。

うつみ:あれ面白かったねー(笑)

二人羽織:ひとりが手を動かす人、もうひとりが話す人になって、動く手にあわせて話すゲーム。

かおり:あとは本番でみんながそれぞれ輝いてるところがあったりとか、今までの印象とガラッと変わる一言を言ってたりとか、かっこいい姿を見てちょっと感動したとか、そんなシーンが、細かくたくさんありました。

うつみ:なるほど。ワークを通して、自分にとってこれが印象に残ってるみたいなものはある?

かおり:ワークは考え方を変えれば、意外と言葉が出てくることもあるんだなとか、先を考えてたから喋れなかったんだなとか、あと本番が楽しかったっていうのが自分は一番衝撃的でした。きっと「やっちゃったな」「また頑張ろう」ぐらいの気持ちで終わるんだろうなと思ってたので、本番の1時間がすごく楽しかったっていうのが、私の中ですごく印象的でした。具体的に言えなくてあれなんですけど、自分の3日間での衝撃です。

うつみ:なるほど。発表会がすごく印象に残ってるんだね。

かおり: はい。あと、最初のときに感じた緊張と2日目の緊張が違ったのもちょっと印象的だったなって思います。顔を合わせたときに、安心できる空間がもう2日目にあった。そういう1日1日の中で少しずつ信頼関係というか、安心感が広がっていったなと。朝のチェックインのときから、昨日よりわくわくしてるなとか。そういうのが徐々に上がっていく3日間でしたね。

うつみ:なるほど、ありがとうございます。ではみねこにとってワークショップで印象に残っていることはなんですか?

みねこ:2つあるんですけど、1つ目は今かおりさんが言ってたみたいに、これは今まで参加してきたときもそうだったんですけど、どんどんチームになっていくという感じ。週に1回とか月に1回とかではなくて、3日間連続でやるからこそ、昨日あったことを鮮明に思い出せる仲というか、結束みたいなものができて。プレゼントゲームで「この人にこういうことを言ってもきっと大丈夫だろう」みたいな安心感があるところはすごく感じました。それはすごくいい印象でした。

うつみ:うんうん。

みねこ:すごくチャレンジングだなと思ったのは、二人羽織とツーボイス。3日間ワークショップに参加するのは3回目ですけど、初めてやったワークだったっていうのもあるし、やっぱり自分が身体を使って何かを表現するとか、身体から何かを読み取って表現するとか、そういうのがすごく苦手だなって痛感したワークだったので、次やる機会があったらもっとちゃんとチャレンジしたいなって思いました。

うつみ:なるほどなるほど。ちなみにさっき言ってた「1回目2回目は頭を使った」みたいなことに関して、3回目来て「ここは大丈夫になってるな」「なんか成長してるな」っていう感覚はありましたか?

みねこ:やっぱり失敗を恐れないとか、オープンに楽しむみたいなマインドがだんだん自分に馴染んできたなっていう感じがあって。今回は3回目だからこそ、最初から楽しみにいけたなっていう感じは、個人的にありました。

うつみ:たしかに、初日からアクセルかかってた感じあったね。

発表会はどんな体験だった?

1回目の発表会の様子

うつみ:では、続いて発表会はどうだった?ということを聞いてみたいと思います。かおりはさっき半分くらい発表会について話してたけど、まだ聞いても大丈夫そう?

かおり:はい、大丈夫です。発表会は前日に気持ちをちょっと整えるというか、なんかちゃんと考えなきゃと思ってふりかえってみたんです。1日目と2日目のワークで「今、インプロらしい考え方でいれたな」っていう瞬間が私は正直あまりなくて。なんかすごく必死になっていたし、どうしようどうしようがずっと続いてて、いつも通りの緊張に弱い私のまんま来てしまったなって。「こうしたらよかったんだ」はたくさんあるものの、形になった瞬間がないまま本番を迎えた感じなんですけど。

うつみ:うんうん。

かおり:2日間をふりかえってみて、もうこの時点で私は本当にメンバーの皆さんがすごく好きで、単純に明日が最終日なんだなっていうのが、自分の中では発表会と同じぐらい大きいこととしてあって。みんなで何かをやるってのは最後なんだっていうこととか、みんなの中だったらとんでもないことを言っても、大失敗して飛び込んでしまったとしてもなんとかなるんじゃないだろうか、みたいなことを思って。それだったら明日を一番楽しかった日にしたいなっていう気持ちのまま、前日眠れたんですよ。

うつみ:素敵だねぇ。

かおり:そんな形で迎えた3日目の朝、本当に皆さん誰1人「本番だ」「もう無理だ」みたいな感じじゃなく「本番ですね」「ついにですね」みたいな空気感だったのがすごい嬉しくて。ただやっさんが腰の痛みで一緒に出られなかったのはすごい残念だなと思ったんですけど、うん。本当に素敵なメンバーだなっていう気持ちで。

うつみ:うんうん。

かおり:本番は横から見てる間って緊張するのかなって思ってたんですけど、緊張することなく素直に皆さんの勇姿というか、インプロを見せていただいて。うさぎさんの「セミです」ってあんな言葉が出るとは全く思ってなくて、すごい真面目な印象だったので。あとたまご屋さんとしてばっと舞台に出てた姿とかすごいかっこいいなと思って感動していたり、本当にいい時間でした。観に来てくれた友達も「セミです」はいまだに思い出し笑いしてるって言ってました(笑)

うつみ:あれはインプロしてる瞬間だったね~。「今この瞬間思いついたやつだ!」っていう感じがした。

かおり:それがすごいかわいらしいというか、キラキラしてましたよね。すごい好きですあの瞬間。

うつみ:ショーでいうとかおりが二人羽織をめちゃくちゃ楽しそうにやっていたのがすごい印象に残っているんだけど、あのときはどんな感じだったの?

かおり:記憶がないんですよ(笑)楽しかったです、ただ。「3人出てきて」って言われたときに、とりあえずやりたいなと思ったのが一番。何をやるとか考えずに立ってしまって、二人羽織って言われた瞬間に「終わった」と思って(笑)でもあの手が元気すぎて、

うつみ:かよさんの手ね(笑)

かおり:なんかもう、なるようになれば、っていう感じで本当に楽しかったです。最初はとりあえず口早く動かさないと追いつかないぞぐらいの感じで。ただそれが次々来るのがだんだん楽しくなってきて。それでちょっとずつあきねぇさんが困ってるのもなんか面白くなってきて。必死だったので、何を考えてとかっていう記憶が全くないんですけど、人前なことも忘れ、とにかく楽しい時間でしたね。なんか、あの瞬間初めて飛び込めたかもしれないですね。

うつみ:なんか、子供のかおりがパーって現れたみたいな感じすごいあった。みねこは発表会はどうでした?

みねこ:心が凪いで(ないで)いましたね。

うつみ:落ち着いている凪(なぎ)っていうこと?

みねこ:はい。特に興奮もせず、緊張もせず、皆さんいらっしゃったな、こんにちはみたいな。そんな感じで迎えました。なんか、1回目と2回目は結構自分を盛り立てようとしちゃってるところがあって、わりと興奮状態で突入してしまったんですけど、今回はわりと落ち着いてスタートを切れて。でも見てる間はずっと楽しいし、自分がシーンに出ても、今までだったら絶対頭爆発してたんですけど、今回は冷静に臨めたかなって思います。そこは、もしかしたら見た目面白くなかったかもしれないけど、自分としては進歩かなって思いました。

うつみ:なるほどなるほど。みねこといえばうさぎさんとやった、ちょっとシリアスなシーンが印象的で。あれすごく良かったなと思うんだけど、その落ち着きがあったからいけたのかもしれないね。

みねこ:そうですね。自分が笑わないで済むシーンをやってみたいっていう気持ちはもともとあったんですけど、あのシーンはうさぎさんの姿を見てから「あ、お父さん」っていう気持ちになって、ちゃんと見たものを受け止めて、冷静にそこに自分も参加していくことが出来たシーンだなって思ってて。ちゃんとうさぎさんと会話できたなって思うし。自分がやりたかったことでもあるし、でも自分が想像してなかった形に着地したなっていうシーンでした。

うつみ:いいねいいね。ある種インプロの理想だよね、自分がやりたかったけど自分が想像していなかったところにたどり着くって。なんか着実と進歩みたいなものを感じた。

みねこ:ありがとうございます。ご指導のおかげです。

うつみ:いえいえとんでもないです。

かおり:みねこさんはいつも安心感があって。もともと人柄的にも安心できる存在なんですけど、インプロの3日間でなんというか、いい意味で先輩としていてくれている、心強い存在でした。

みねこ:そうだったんだ!

かおり:そうだったんです!笑

どんな人におすすめ?

1回目の発表会の様子

うつみ:では最後に「このワークショップはこんな人におすすめ」っていうのがあったら聞いてみたいなと思うんだけど、どうでしょう?

みねこ:私がかおりさんに3日間ワークショップをおすすめしたのは、かおりさんって結構いろんなワークショップに行っているのを知っていたので、そういう多趣味な方々には全然おすすめできるなと思って。かおりさんみたいに、何かいろんなことをやっていろんな場所に行っていろんな人を知っていて、というタイプの人はもう全然すんなり入れるので、どうぞぜひ一緒にやりましょうみたいな感じです。逆にどんどん自分でよろしくお願いしますみたいなことを言わないタイプの人でも安心して来てもらえる場所だから全然誘えるなっていうのは、めっちゃありますね。

うつみ:ありがとうございます。

かおり:私は本当に、迷ってる人全員とりあえずポチっとっていう(笑)私はみねこさんから誘われなかったら行けてなかったかもしれないっていうのが結構大きくて。3日間って実際やってしまうと短いですけど、長時間のワークショップとか、3日間のワークショップで本番があるってなると、すごく難しいことをやっているような気がしちゃうなーと。難しいことをやってるというか「自分にできるかな」っていう疑問がわいちゃう気がするんですよね。私はそれですごく悩んだというか。みねこさんに背中を押してもらえて行けたたんですけど、行ってすごく楽しかったので。でも、もうこのインタビュー記事を見てる時点でめちゃめちゃ興味を持ってるから。

うつみ:たしかに(笑)

かおり:だから興味を持った人はぜひ参加、みたいな気持ちです。本当に日常生活でも演技をやってる人でも生きるところがインプロの考え方にはいっぱいあるんだろうなって思うので。何をやってる人とかって具体的に全然言えないんですけど。一歩踏み出したら何か本当に変わる気がするので、迷ってたらぜひっていう感じですね。

うつみ:ありがとうございます。

かおり:あと「緊張に弱い人」はぜひ。緊張も実は楽しめたりするかもしれないよっていう。実際あの二人羽織のときとか、緊張してる自分を楽しんでた気もしてきたんですよね、落ち着いてふりかえってみると。緊張して、めっちゃ焦ってるからこそ喋ってたりとか、そんな自分が笑えてきたりとか。それってすごくひさしぶりの感覚でした。

うつみ:たしかに、僕ももともと緊張しいだし、今でも全然緊張するけど、なんか緊張との付き合い方が変わるみたいなのはあるよね。前は「緊張してる自分、駄目だ」だったのが、「緊張してる自分、面白い」みたいな。

かおり・みねこ:うんうん。

うつみ:というわけで、インタビューはここまでとなります。ご協力ありがとうございました!

かおり・みねこ:ありがとうございました!

3日間ワークショップの体験イメージは伝わったでしょうか?興味を持たれた方はぜひ次回の3日間ワークショップにご参加ください。みなさまに会えることを楽しみにしています!

東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は、海外を含む100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において1000回を超えるワークショップを開催している。NHK『あさイチ』出演。共著書『インプロ教育の探究』
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